あと4日


[01]笑顔


結局、昨日の夜はなかなか寝付けないし、結論は出ないしで…。
あまり優柔不断な方じゃないと思っていたのにな。
「おはようございます。」
「おはよう先生!」
今日も裕太を保育園に連れて行く。
「じゃあねっお父さん!」
元気良く裕太が手を降る。
「おうっ!行ってらっしゃい。」
裕太には不安そうな素振りを見せない様に、元気を出してお別れする。

職場へ向かう途中…
「太陽さん!」
後ろを振り向くと、楓が立っていた。
「楓…どうした?」
短くなった髪の毛を手ぐしでとかしながら嬉しそうに言った。
「昨日、太陽さんのおかげで勇気を出して両親に言ったんです。イジメられてる事…。」
「言えたのか…で、何て?」
「すごく驚いてました…でも、何もしないでって自分から言いました。」
楓の両親と同様に俺も驚いた。
「どうして?」
「…しばらく自分で戦ってみようと思うんです。イジメと。黙ったままじゃ嫌なんで…。」
楓は凛としてそう言った。
「そうか。頑張って来いよ!」
「はい!行ってきます。」
笑顔を見せて、楓は学校へ向かった。
自分が笑顔で見送る事が出来るのは…あと何日なんだろう。




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