番外編〜楓〜前編


[01]イジメの始まり


あれは高校2年生になってすぐだった。
それは…急に始まった。
きっかけなんて分からない。別にクラスに馴染めなかった訳でもないし。
ただ覚えてるのは、仲良しだった娘も、話した事もなかった男子も…とにかくクラスの皆が急に私の事を嫌いだした。

「松岡さん、ちょっと来てもらえる?」
クラスで1番目立つ女子とその取り巻きに呼び出された。
これがおぞましい「イジメ」の始まりだった。
連れて行かれた先は女子トイレで、そこにはただならぬ雰囲気が流れていた。
「…何?」
沈黙が何となく怖くて、そう聞かずにはいられなかった。
「松岡さんって、何か最近調子乗ってるよねー。」
意味がわからなかった。
「先生にひいきされてるからってさー…。」
そう言った瞬間にそこにいる全員に取り囲まれた。
「マジでうざいんだよ、消えてくんない?」
ホースで勢いよく水をかけられる。
「ちょっ…どういう事?やめてよっ!」
けっこう気が強い方な私はそう言い返したが、放水はしばらく止まらなかった。

これが決定的なイジメの始まりだった。




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