歪みの国のアリス《長編》


[04]Black Sun《黒い太陽》C





ロウソクは


勝手に消えて無くなる。





あれが消えるとき、



アリスは現実に戻るのだ。





「・・・ふぅ」












・・・危なかったな・・・。



口許を手で覆う。








もう少しで








もう少しで










彼女に




触れてしまうところだった。













己の青白い手を


みつめる。





ドアの隙間から


アリスを見たとき、





一瞬だが、









固まってしまった。









戸惑った雰囲気を

纏<マト>っていた彼女は




自分が最後に

見たときよりも







随分と身長が伸びていた。




つい、


月日が経つのは早いな、


と考えてしまう。














そう、
変わってないのは、















・・・自分ダケ・・・














目の前に
アリスがいるだけで、


それだけで
鼓動が速くなる。














彼女の香りが、













極上な甘い香りが、
















まだ鼻から離れない。




それが彼女の存在を


真実として

裏付けている。




今度は、




今度こそは、






夢などではないのだ。











本当に帰ってきて

しまったのですね・・・



複雑だった。
喜ぶべきでないのは
わかっている・・・。

わかっているが、実際は

顔がにやけてしまう。





演技というのは、

難しい。





私はあまり得意ではない。


嘘をつくのは、
苦手だ。



先ほどの記憶を辿る。




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