歪みの国のアリス《長編》


[01]Black Sun《黒い太陽》@









暗い。














ここは、どこ・・・?








い、やだ。




独りは、恐い・・・。




誰か・・・お願いだから、


私を独りにしないでくれ・・・。










突然、一筋の光が私を捕らえた。







・・・ひか、りだ。


眩しくて、温かい・・・。








あまりに強烈な光だったから
手を顔の前にかざし、
目を細めた。






誰か、いる?






次の瞬間には、
その誰かに触れたいという
衝動が起こった。





でも、

心のどこかで、

だめだと言っている
自分がいて。








葛藤の中、
光が一層強くなり、


だんだん光の中の誰かは遠ざかる。











待ってくれっ!













私を・・・
独りにしないでくれ!




置いてかないで・・・っ








思わず伸ばした腕は、



空を掴むだけで。



彼女はどんどん離れていく。













かの、じょ・・・?














一瞬

光の向こうへ歩いていく




誰かの姿がみえた気がした。




緋色のエプロンドレスに、
ショートカットの後ろ姿。












その娘の名を

口に出そうとした瞬間、

光は消え、

また深い、

暗い海に












私は投げ出された−−−。

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