暴走堕天使エンジェルキャリアー


[02]BEAST Attack


巨大なそれはおおよそイメージする様な「ロボット」では無かった。「人形」という言葉が、それを現すのにぴったりだった。
人形のコクピット(らしきもの)のモニターに、英文が浮かび上がる。

「"ANGEL CARRIER" operation system standup」
「エンジェルキャリアー?」
それがこの人形の名称らしかった。だが今の九十九にはどうでもいい事だった。
今はただ、目の前の敵を倒すこと、生き残る事が最優先だった。

エンジェルキャリアーのセンサーが敵である「何か」を捕捉する。そしてモニターに映し出される文字。

「Beaming Easter of Angel's STabber」
BEAST。それが目の前の「何か」の名称らしかった。

そしてエンジェルキャリアーは九十九の感情を読みとり、敵に向かって突進する。
「死にたくない!俺はまだっ!」
エンジェルキャリアーの蹴りがBEASTの脇腹にめり込む。BEASTは悲鳴を上げ、口(のようなもの)から濃酸の唾液をこぼす。唾液はビルを溶かし、黒煙を上げさせた。
「体中が凶器かよ!?ならっ!」
九十九は叫ぶ。
エンジェルキャリアーの右拳がBEASTの口にめり込む。BEASTはビルを下敷きに倒れ込む。
「これでっ!」
BEASTの首に左手刀がヒットする。
「クワァッ!」
BEASTが金切り声を上げ悶える。だが、BEASTの放つ蹴りがエンジェルキャリアーの腹に決まる。
「くぁっ!」
ズシンとエンジェルキャリアーが後ろに倒れる。
「畜生っ!」
エンジェルキャリアーが立ち上がるより早く、BEASTが立ち上がる。
BEASTは唾液を飛ばす。その唾液はエンジェルキャリアーの右胸にヒットし、白い皮膚が焼ける。
「くぁっ!」
エンジェルキャリアーの痛みが九十九に伝わる。
「何だよ、これ!?」
未だ立ち上がれぬエンジェルキャリアーにBEASTが襲い掛かる。
エンジェルキャリアーの懐に飛び込んできたBEASTの腹に膝が決まる。
「クァァっ!!」
急所に入ったのか、BEASTは仰向けでのたうち回る。
エンジェルキャリアーはゆっくりと立ち上がり、右手で手刀を構えた。
「終わりだ…バケモノっ!!」
エンジェルキャリアーの指先が輝き、手刀がBEASTの腹に決まる。
「キィエェェェ!!」
BEASTは悲鳴を上げ、腹から赤い血の様な液体を吹き出す。
エンジェルキャリアーはBEASTの返り血を浴びて真っ赤に染まった。

初めての戦闘を終え九十九は放心していた。同時に、自分の生も感じていた。
そんな九十九の周りを、慌しく軍用車が取り囲む。そして車から銃を構えた男達が降りて九十九を取り囲む。
急いでエンジェルキャリアーに乗り込もうとする九十九の頬を、銃弾がかすめる。
「動くな。我々は無条件に君を射殺する権限を有している。」
銃を構えた白衣の女がそう告げる。九十九は観念し地上に降り、両手を上げた。
「君は軍の機密を見た。我々と同行してもらう。もちろん拒否権は無いがな。」
女はそう言うと顎をくいと振り、それを見た男達が九十九の両腕を掴み、車に押し込んだ。

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