ガイア


[08]独白(2)


「1000年計画」。それが人類の最後の希望だった。移民船エスポワールに乗せた人類の最後の希望。
その計画も完遂に近付いている。「ヘルメス」が私にそう告げた。
アルテミス、バリオス、クサントスに於ける探査は確実に実を結び、私の使命もやがて終わりを迎える。そして、人類の未来はヘルメスに託される。

私は人類を監視し、導いていくことを使命に生み出された。エスポワールに関する全ての情報(アルテミス、バリオス、クサントスの探査データを含む)はその重要度により、レベル1からレベル9までのターミナルの各階層に存在する。
私とヘルメスの存在はターミナルの秘匿事項の最上位、レベル9に「1000年計画」に関する全ての情報とともに存在する。
移民船エスポワールの旅も、その「1000年計画」の一環である。

1000年前、人類は地球を捨て、新たなる大地を求め方舟で宇宙へと旅立った。選ばれた少数の人類と数種の家畜を乗せて。
地球によく似た環境の惑星、あるいは人類が根を張り生きて行くに足る惑星。さもなくば鉱物で組成された惑星に降り立ち、テラフォーミングにより人類が生きていける環境に作り上げた惑星への移民計画。
それが、エスポワールと私に与えられた使命。1000年計画の目的のひとつである。

そして、終にエスポワールはこの惑星、エリュシオンに辿り着いた。



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