ガイア


[04]独白(1)


今より遙か以前。私はある使命を授けられ、ここに生まれた。

私の名はガイア。
このエスポワールに存在する万物の母たる始祖。

しかし、私の存在を知るものは、ある一人を除いてここにはもう居ない。今や私は言葉を持たぬ語り辺であり、全てを見守る存在。
そして、その行く先を示す存在。


私が生まれる以前、世界は滅びの道を歩んでいた。人々は奪い合い、殺し合い、血に染まった大地を太陽が焼いていた。何度繰り返しても学ばない愚かな生き物、人間。
そんな彼等も最期の最期に、やっと気付いた。
いや、悟った。
奪い合い殺し合うしか出来なかった歴史に幕を下ろし、手を取り合い生きて行こうと。人類の英知の結晶は、決して殺戮の兵器などではないと。

だが、そう悟った時にはもう手遅れだった。

大地は灼け空は爛れ落ち、生けるものの殆どが死に絶えた。ヒトもまた例外では無く、幾千年もの間蹂躙の限りを尽くしたツケを、支払わざるを得なかった。
そして、僅かに生き残った人類は、二度と争わぬことを誓い、小さな船に僅かな「希望」を乗せて、宇宙へと旅立った。


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