ガイア


[18]1000年計画


エスポワールが宇宙へ旅立つ少し前。わずかに生き残った人類は、薄暗い地下でも自治政府を築いていた。
政府高官は戦前からシェルターを所有していた権力者、有力者達であった。
彼らの中には、宇宙への移民計画に反対する者も居た。既に実権を握っているシェルター内での地位に固執していたからだ。

一方の移民賛成派は、窮屈なシェルター内で鬱屈した日々を送っていた一般市民から強い支持を得ていた。
両者は何度も会談を行い意見調整を図るも、権力者と一般市民との意見が一致することはなかった。
やがて意見が揃わぬまま、3隻の移民船が完成した。
多くの一般市民に強いた重たい労働の末の移民船の完成。市民の反発と暴動を恐れた反対派は、「1000年計画」の草案を会談で提出した。

1000年計画。

新天地を宇宙へ求める賛成派の意見を尊重し、3隻の移民船による地球外惑星探査の名目で地球からの離脱を許可する、というものだった。
最長1000年の時間をかけ、地球外惑星の探査とテラフォーミングを以て、移民計画を完遂させる。そして、テラフォーミングによって惑星に根を張った際は、その技術力を以て地球環境回復への技術協力を要請する。
最悪1000年経っても新天地に根を張れなかった場合は、地球に帰還し地球環境回復の為に助力してもらう。
というものだった。

賛成派は1000年計画に同意。何度かの調整を経て、宇宙へと旅立っていった。
そして地下に残った反対派は、ヘルメスの力を借りて長い眠りに就いた。


そして1000年が経ち、地上に植物が生い茂りだした頃、ヘルメスはエスポワールを呼び戻し、反対派を眠りから目覚めさせた。



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