第43章


[36]


 こいつら、言いたい放題言いやがって。ぎりぎりとあっしは嘴を噛み締める。
チビ助さえも普段からジト目気味な目付きを更に険しくして、あっしを軽蔑するように見やる。
だが、あっしが何もしていないのは全くの事実である以上、何も言い返すことは出来ない。
「ぐぐ、クソッタレ、こんな奴ら俺様だけでどうにでもなるってんだ、テメエらはそこでただ黙って見てな!
 オラオラ、来るならどこからでもかかってきやがれ!」
 ヤケクソになってあっしは翼を広げ、ラッタとゴルバットに啖呵を切る。
「違う、違う、俺もう戦わない、戦えない。こいつも、な? な?」
 ラッタはたどたどしく言って首をぶるぶると横に振るい、ゴルバットに同意を求める。
”ギィ”とゴルバットは一鳴きして頷いた。
「ああん? じゃあ、一体何のつもりだってんだ?」
 内心ホッとしながら、あっしは強い調子で尋ねる。
「俺も、こいつも、飼い主どうなったか見に来た、な? な?」
 ”ギィ、ギィ”とゴルバットは二鳴きして頷いた。
「ヘッ、あのゲス共ならとっくに夢ン中さ。強烈な催眠をかけてやったから良くても半日は目覚めねえだろうよ」
 存分に脅しかけるようにあっしは言った。
「かけたのはアタシだけどね」
 ぼそりとニャルマーがぼやく。黙ってろ、とあっしが睨むと、ニャルマーはツンと顔を背けた。
 ラッタとゴルバットは顔を向き合わせて何やら”チューチュー、ギィギィ”とささめく。
暫しの後、話が纏まったのか、くるりと二匹はこちらに向き直った。

[前n] [次n]
[*]ボタンで前n
[#]ボタンで次n
[←戻る]




Copyright(C)2007- PROJECT ZERO co.,ltd. All Rights Reserved.