第43章


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「ああ、どいつもこいつも……」
 もう頭を抱えすぎて首までめり込んじまいそうな気分だ。
「……どうすんだい」
 表情をひくひくと引き攣らせ、ニャルマーが尋ねる。
「どうするもこうするも、あっしらだけじゃ先に行きようがねえ。追うしかねえだろ、クソッタレ」
 ぶつけようのない苛立ちを翼に込め、八つ当たりするように思い切り空気を叩いてあっしは飛び立った。
「ん、なんだ、結局君達も来てくれたのか」
 どうにか追いついてきたあっしらに気づき、走り続けながらマフラー野郎は呑気に言う。
「好きで来たわけねえだろ、そのガキが勝手に飛び出していきやがったから仕方なくだ」
 ぶっきらぼうにあっしは返し、子ニューラをぎろりと睨んだ。
「オレも手伝うぜ、ネズミ!」
 視線なんてまるで気にも留めず、意気揚々と子ニューラは申し出る。
「あんな黒服なんて、お強くて物好きなヒーロー様に全部任せて、あっしらは余計なことせず一足先に
里に向かえばいいんだよ。それに、イトマル如きに震え上がってた奴が何の役に立てるってんだ」
「あ、あいつらだけはちょっとだけ、ほんのちょっとだけニガテなだけだ。オレ、ホントは強いんだからな」
「ヘッ、自分で自分を強いなんていう奴ぁハッタリ野郎ばかりだっての」
「むむ、今に見てろー!」
「シッ」
 言い争うあっしと子ニューラを、マフラー野郎が止める。


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