第43章


[19]


「最早、一種のビョーキだね、ありゃ」
 走っていくマフラー野郎を見やり、呆れた様子でニャルマーは呟いた。
「で、あたしらはどうする?」
 それから横目をこちらに向け、ニャルマーはわざとらしく尋ねる。
「どうするもこうするもねえだろが。先に行ってろって奴ぁ手前から言ったんだ。
その言葉にありがたく従おうじゃねえか。一々付き合っていたら身がもたねえや」
 ぎすぎすとした調子であっしは答え、余計ないざこざから目を背けるように
奴らが走り去っていた方とは正反対に足を向けた。ニャルマーは当然の答えといった具合に
満足げに鼻を鳴らし、あっしに倣う。
「奴なら一匹でもあの程度の奴らどうにでも出来るだろうが、きっとまた約束がどうたらで
トドメを刺すなんてしねえ。すぐに追っ手に居場所が伝わる。里まで急ぐぞ、ニューラ」
 あっしは子ニューラへと振り向く。しかし、そこに既に子ニューラの姿は無かった。
嫌な予感がしてマフラー野郎が向かった方を振り向くと、後に続こうとする後姿がすぐに目に入る。
「おい、何やってんだ!」
「あの黒服どもぶっ飛ばすんなら、オレもやる! あいつらは敵だって親父も言ってたし、
オレもあいつらキラいだ!」
 そう言い残し、子ニューラはあっという間に駆けていく。

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