第42章


[01] 


 ヤドン達が消息を絶ったという話の真相を突き止めるため、俺達は南西にあるというヒワダタウンを
目指していた。人間の文字が読めるために自ずと地図役を担っていたロズレイドが身勝手にもマニューラの
後を追って離れてしまい、見知らぬ土地に一寸だけ途方に暮れそうになったこともあったが、
こちらには念のために持っていた予備の地図があるし、文字なら元人間だというデルビルだって読める。
ミミロップの奴めは「ほら、やっぱりロゼちゃんがいないと困るでしょ?」などと、
嫌味たらしく釘を刺そうとしてきたが、まったくもってそんなことは無いのだ。
 ここ三十二番道路は、キキョウシティから南に真っ直ぐ伸びる自然と変化に富んだ道だ。
森があり、岩山があり、入り江があり、入り江には古めかしい木製の桟橋がかかっており、
それをまるで高みから見下ろして嘲笑うかのように真新しく冷たい銀色の光を反射するリニアの鉄橋が、
交差して横切っている。
 地図によれば、この三十二番道路の先にある繋がりの洞窟を抜ければ、岩山や深い森を越えることなく
ヒワダタウンの近辺へと出られるようだ。本来、少しくらい険しい山や森などポケモンである我らには
どうということは無く、寧ろ人間が寄り付かなくて好都合なのだが、未だに体に馴染まぬというデルビルが足を引っ張る。
まったく、利用価値さえ無ければこんな奴、置き去りにでもしてやりたいところなのだが。
俺達は仕方なく、キャンプに来ているトレーナーや、桟橋で糸を垂らす釣り人達の目につかないように
注意しながら進んでいった。
「そろそろ繋がりの洞窟だぜ。あの岩山のそばにポケモンセンターがちらりと見えるだろ?
 洞窟の入り口はあそこから目と鼻の先だ」
 言いながらデルビルは鼻先で示す。見やると、ポケモンセンターの特徴的な赤い屋根が確認できた。


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