第41章


[37]


「勘違いしてやがんな。テメーは一応群れの仲間と認めていたから助けた。だが、あのオオタチは仲間でも何でもねー。
大体、あのオオタチだって、あんな無害そうな面してるが、同じようにコラッタやらネズミを襲って生きてるんだぜ?」
 う、とロズレイドは言葉に詰まる。
「襲いもすれば、襲われもする。水と光さえあれば満足なテメーにゃわかんねーかもしれねーが、
生きていくには相応の覚悟ってやつがいる」
 言って、マニューラはオオタチの方を一瞥した。
「あいつはクソ蜘蛛共の縄張りにうっかり入ったどころか、逃げ切れずに巣穴まで突き止められるようなヘマまでした。
だから、終わりだ。誰のせいでもねえ、全て自分が引き起こしたことだぜ」
「……でも、何もまだそんな覚悟もなさそうな、あんな小さな子どもまで――」
「子ども? 何言ってんだ、ありゃもういい大人じゃねーか」
「よく見てください……」
 怪訝に思い、マニューラは改めてオオタチを見やった。そして、オオタチの丸めた体の隙間から、
長い耳をした丸っこい体の小さなポケモン――子どものオタチがひょこりと顔を覗かせたのを見て、目の色を変える。
「親と、子か……」
「……はい」
 マニューラはかたかたと微かに体を震わせて言った。
「だから……どうしたってんだ……」
 振り絞るように声を上げ、マニューラは左腕に巻きつけた布切れをぐしゃりと握り締める。
 ――分かったよ、助けりゃいいんだろ、クソッタレ――!
「マニューラさん?」
 ロズレイドは様子のおかしいマニューラに心配そうに声をかける。と、マニューラは唐突に己の両頬をばしんと叩き、
体の震えを強引に押さえ込んだ。
「メンドーばかり呼び込みやがって――! 気が変わった。あのイタチ共を助けてやる。あの子蜘蛛共が、
”ヤツ”まで呼び寄せる前に手早くな」


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