第41章


[02] 



「うむ?」
 何だか唐突なまるで人事のような口振りに、怪訝に思って俺はミミロップに振り返る。
「え?え?」
 私じゃない、と言いたげに戸惑ってミミロップは首を横に振るった。
「ふふん、油断しきっちゃって、まるで成長していないようね。上よ、上、上」
 目の前のミミロップは口を動かしていないというのに、再び同じ声色が響く。
その声は俺達の後方、少し頭上から届いてきた。これは――ぞわりと、全身に嫌な感覚が走る。
「やっほー、数ヶ月、半年ちょっとぶりくらいかなぁ?」
 その方、トンネルの入り口の上を見上げると、ミミロップとまるで瓜二つの“もの”が一匹、石垣に腰掛けて足をぱたぱたさせながら、にこにことこちらに手を振るっていた。
 俺達は一斉に身構え、戦闘体勢を取る。
「やーね、そんなに身構えないでよ。今日はご挨拶に着ただけだから別に戦うつもりは無いし」
 やれやれとミミロップのコピーは座ったまま手をひらひらさせた。
「……レッドは無事なのか?」
 油断無く見張りながら俺は尋ねる。
「無事にミュウツー様の残していったメッセージを受け取ったみたいね。さーて、どうなのかなー、無事といえば無事なんじゃないのー?大事な人質でもあるし、利用価値のある内はね」
「貴様……」
「あはは、あんたみたいなチビに凄まれたって、全然怖くなーい。ま、私は当然この通り、今日はいないけど他のコピー共もばっちり復活、立て直しってワケで、今後ともよろしくねー」
 そう告げるとコピーは余裕綽々で立ち上がり、去って行こうとする。その足元すれすれに、群青色をした直径三センチほどの小さな波紋状の光が放たれ、ぱしゃと水音を立てて弾けた。

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