第40章


[04] 


「――ッ!? ――――! !!」
「逃げちゃだーめ」
 声にならない声と共に俺は逃れようとするが、腕にぎゅっと阻まれて膝上に戻される。
「今日はずっと一緒にいる約束でしょー?」
 ……こんな、まったく身に覚えの無い約束をさせられる程に俺自身も大いに飲み食いさせられ、現状に至るようだ。
「……アブソルはどうした?」
 仕方なく抵抗を一時諦め、俺は尋ねた。
「疲れてマージちゃんと一緒に先に寝ちゃったわ」
 ミミロップは俺を抱えたままくるりと振り返ってみせる。部屋の隅でアブソルは毛布をかけられ、すーすーと寝息を立てていた。添い寝するようにムウマージも傍らに横になってふわふわ浮かんでいる。
ほ、と俺は安心して息をついた。
 それにしても――。
「いいぞ、いいぞ!もっとやりなせえ、クハハハハ!」
 騒ぎ続けるドンカラスを筆頭とするポケモン達の姿をちらりと俺は見やる。
こやつらと来たら、本来の宴の主役だったであろう俺とアブソルが先に潰れていようと、もう殆んどお構い無しではないか。まったく、てんでばらばら、不揃いで、とことんやかましい奴らだ。とてもうまく制御仕切ることなんてできやしない。
だが、だからこそ――呆れて眺めていた筈の口元が、自然と弧に緩む。


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