第40章


[31]


 見渡すドンカラスに、マニューラがひらひらと手を挙げる。
「……大体予想はつくが、一応言ってみやがれマニューラ」 
「はい、センセェー。それなら”しみったれ”の”クソカラス”がいいと思いまーす、ヒャハ」
「却下だ、クソッタレ」
 ビッパが椅子の上でぴょんぴょんと跳ねる。
「……なんでえ、ビッパ」
「”けつばん”の”ィ゛ゃゾ┛A”か”アネ゙デパミ゙”がいいと思うお。今度連れてこようと思ってる新しい友達の名前なんだけど」
「却下。そいつら絶対連れてくるんじゃねえぞ。次」
 今度はエレキブルが手を挙げた。
「おめえさんなら信頼できそうだ。まともなのを頼みやすぜ、エレキブル」
「”きいろいイナズマ”なんてどうだ?”きいろい”と聞いたら、”イナズマ”と返すんだ。
俺がいつか名乗ろうとしていた異名だが、くれてやってもいいぜ、ガハハ」
「うーん、まあ悪かぁねえが、ボスの姿やあっしらが掲げてる組織の雷紋章を見て、ぱっと連想しちまわなえかなぁ?」
「あの……」
 そっとロズレイドが手を上げる。
「お、何かありやすか」
「”ピカチュウ”の”人生”なんてどうでしょう?僕が今書こうとしている、ピカチュウさんを中心に皆さんの伝記を纏めた本の仮題なんですが」
「ほほう、そんなもんを……。確かに”ピカチュウの”なんて急にふられて”人生”と返すことなんて、知らされてねえ部外者には中々出来ねえでしょうね。とりあえずそれでいきやしょうか、ボス?」
 これからことあるごとにそこかしこで俺の名前がひそひそと交わされるようになるわけか……。
恐らく傍から見ていてあまりいい気分はしないだろうが、かといって良い代案も浮かばない。
「それで構わん。取り掛かれ」


[前n] [次n]
[*]ボタンで前n
[#]ボタンで次n
[←戻る]




Copyright(C)2007- PROJECT ZERO co.,ltd. All Rights Reserved.