第40章


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 ・

 一階に降りると、食堂の外には数羽のヤミカラスが立ち、見張りをしていた。
俺達の姿を見ると、ヤミカラス達は無言で両脇に退いて道を開ける。
「ご苦労」
 俺は一声掛けて、頭を下げて並ぶヤミカラス達の間を通り、食堂の入り口をくぐった。
あれだけ散らかっていた内部はすっかり綺麗に片され、だらけきっていたポケモン達も、整然と並ぶ席に各々座していた。
「おはようございます、ボス。よく寝られやしたか」
 ドンカラスは頭の帽子のつばをひょいと片翼の先で持ち上げ、鋭い目を覗かせて言った。
「何か重要な話があると聞いて、大慌てで片しやした。ささ、まずはこちらへどうぞ」
「うむ」
 勧められるまま俺とアブソルは上座に向かった。席につくと、ポケモン達の視線が集う。
俺は二つ隣のロズレイドに目配せし、頷いた。

 ・

 俺達の話を聞き終えたポケモン達の反応は、ロズレイドの時と大体似たようなものだった。
「ははあ……。にわかにゃ信じられねえ話としかいいようがありやせんが……」
 ドンカラスは昨晩ボーマンダに穴の開けられていた筈の壁に目を向ける。
「あれだけ派手にぶち破られていた筈の壁を、一晩の内に染みの模様まで直されて行かれちゃあ仕方ねえわな。ただもんじゃねえとは睨んでいたとはいえ、いやはや、まさか神さんとはねえ」
 くはは、とドンカラスは半ば呆気にとられたように笑って、言った。

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