第40章


[02] 


 そんな時、
「ドン!ドン!たい、大変なんだ!」
 大声と共にバタバタと騒がしい足音を立て、エンペルトが部屋に飛び込んでくる。
「な、なんでえ、騒々しい」
「いや、もう、ああ、とにかく良い報告だ、とっても!とにかく洋館の外に出れば分かる!
 ミミロップ達はとっくに飛び出して行った!僕も先に行ってるポチャー!」
 驚くドンカラスをよそに、エンペルトは興奮のあまりバタバタと走り回って室内をしっちゃかめっちゃかに掻き混ぜてから、大慌てで再び外に飛び出していった。
「あいつらしくもねえ。一体どうしたってんでえ……」
 怪訝そうに顔をしかめやれやれとドンカラスは腰を上げた。
離れ際、ふと崩れた本の山の間から覗くぎざぎざの半円が目に留まり、ドンカラスは何と無くひょいと拾い上げて見る。
「ありゃりゃ、こんなところに隠れてたんですかい、歯車さんよ」
 止まっていた洋館の時が、少しずつ動き始めた――。


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