第39章


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「私もあなたに感化され、自己の意思としても世界に生きるものを信じようとしていました。しかし、それは間違いだったのでしょうか」
 言い捨てると、パルキアはずるずると長い体を引き摺って神体のもとに向かって行った。たどり着くや、ミロカロスだった体は光と化して、神体へと吸い込まれる。神体の眼に瞬時に輝きが戻り、甲殻を軋ませ、低く唸り声を上げながら神体は、パルキアは真の姿となって起き上がった。
「あなたを仲間達のもとへと返しましょう。我々に関する記憶は全て消し、腕輪も返してもらいますが、ね
ギラティナとの勝敗がどうあれ、もう私が、いえ、我々があなたの前に姿を現すことは二度とないでしょう。
さようなら、ピカチュウ。――平穏な、良い人生をお祈りします」
 翼を広げ、パルキアは咆哮を上げる。
 パルキアの計らいに甘んじれば、俺には平穏無事な一生が待っているのだろう。恐らく、このまま行かせてもパルキアは勝てない。平穏な人生……ギラティナが勝つことを、パルキア自身が悟っているのだ。
 それで、いいのか?平穏は誰もが望むものだろう。アブソルを犠牲にして?たった一つの犠牲で多くが救われる。……ふざけるな!
「待てッ!」 
どうかしていた!俺は帝王だ、いずれ世界のすべてを掌握するものだ。世界征服の覇道に、生涯平穏などありえない。か弱い幼子を犠牲にせねば成り立たん平和など、すぐにまた崩れ去るわ!
「俺もお前と共に行かせろ、ギラティナを止める!」


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