第39章


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 一体何が起ころうとしているのだ。ギラティナに尋ねても、一向に返事は無い。
と、パルキアを覆っていた影が、一際大きく蠢いた。蠢きは収まらず、どんどん膨張していく。
それから内部から一筋の光が差したと思うと、あっという間にひび割れの形で広がっていった。
「ガギャアアアッ!」
 中からの一鳴きで包んでいた影の殻は破れ、豪快に伸ばした白き翼がこびり付く残りも全て脱ぎ捨て、掃い飛ばす。出てきたのは傷ひとつ無い、何一つ変わっていないパルキアの姿だった。

 全く通用していない、これでは足止めにすら……!
狼狽する俺を、パルキアは愉快そうに眺める。 
「うろたえるでない。私だ」 
 響き渡るギラティナの声。それは頭に直接ではなく、パルキアの喉から発せられように聞こえた。


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