第39章


[01] 


話は、ロゼリア改めロズレイド帰還の少し前、幽霊騒動の直後まで遡る。

*****

夜のトバリシティ――
日が落ちてもなお賑わう街の背後に、巨大な遺跡のようにギンガトバリビルが佇んでいる。
かつてはステキファッションの連中で溢れていたここも、すっかり灯が消えて久しい。
その隣、今は使われていない倉庫の一角に、エレキブル達七武海のアジトがあった。

「ははぁ、古巣に戻ったようなもんでやんすか」
「まあな、いい思い出なんかこれっぽっちもねえが、勝手知ったる何とやらだ。
 しばらくこっちに居るんなら、どの部屋でも好きに寝泊まりしてくれていいぜ」
遥々訪ねてきたドンカラスとエンペルトを、エレキブルが中へと案内する。地下へ伸びる階段を下り、重い扉を開けると、ユンゲラーとドーミラーが二匹を出迎える。
「街に比べて随分静かポ……だな。ここにはもう、人間達は来ないのか?」
「ああ、ボスのアカギがテンガン山で消息を絶ってから、ほとんどの奴らが姿を消した。
 残っているのはほんの数人だろう。人間という奴は、実に熱しやすく冷めやすいものだからな」
ユンゲラーは、そう言って肩をすくめてみせる。
「ところでドン、さっきから気になってんだが、そのホッカムリは何だってんだ?新春かくし芸大会でドジョッチすくいでも踊ろうって魂胆か?」
「ばっ……馬鹿言うんじゃねえ!こ、こりゃあ、ちょっとしたファッションてやつで……」
「ね・ん・り・き〜」
ドーミラーが念を飛ばすとドンカラスの頭からブワッとスカーフが持ち上がり、見事に刈られた金太郎カットがお披露目された。
「な、なんだそりゃ!確かにすげえファッションだぜ!!ガハハハハ!!!」
「畜生!てめえ!またサーフボードになりてえのか?!」
「うふふふ〜、捕まえてごらんなさ〜い」
エレキブル達が腹を抱えてゲラゲラ笑い転げる中、剥き出しの地肌に青筋を立て、ドンカラスは憤怒の形相でドーミラーを追い掛け回す。
「ククククク……一体どうしたのだ?」
「じ、実は……ぷぷっ」

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