第37章


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 元は鉱山であった鋼鉄島の洞窟は、廃坑となった今でも修業に訪れるポケモントレーナーのために開放されている。
そのため、坑道内は事故が起こらないよう整備され、所々に控えめながら明かりが灯されていた。
ヤミラミ達は人目を避け、打ち捨てられてから人の手が入っていない脇道へとルカリオとチャーレムを案内した。
内部は暗く、地面も荒れているため人間が来る事はまずない。
 輝く目で暗闇を照らしながら進むヤミラミの後に続いて歩いている途中、一行は何匹かの現住ポケモンと出くわす。
イシツブテや、イワークなどその種類は様々であったが、一行を見ると皆一様に顔をひそめ、
遠巻きにひそひそと話したり、逃げるように避けていった。

「あまり歓迎されていないようだな」
 誰にと言うわけでもなくルカリオは呟いた。
「ここの連中は外の者には閉鎖的なんですよ。最近は、ぬしの件でより一層、排他的になりまして」
 ヤミラミの言葉に納得しきれなかったように、ふうん、とルカリオは小さく鼻を鳴らした。
そして不意にちらりと後ろを見やった後、また黙々とヤミラミについていく。

 その四匹を十メートル程後方からこっそりとつけるポケモンの姿があった。
お前では足手纏いになるとルカリオに言われ、外で待つように言い付けられていたはずのミミロップだ。
暗い坑道の先にぼんやりと見えるヤミラミの目の光と、一行の足音と、拙いながらも波導を頼りに、
時には地面の出っ張りにつまづきそうになりながらもミミロップは一行を追っていく。
 足手纏い。今のミミロップにとって、最も被りたくない、返上したい汚名だった。



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