第37章


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ハガネールはヤミラミ達を睨め付け、ふん、と鼻を鳴らして、白い蒸気を立ち上らせた。
「拾ってやった恩を仇で返しおってからに」
「拾ってやったって?」
 ミミロップはハガネールの言葉に疑問を浮かべる。
「うむ。こやつら、元々はホウエン地方からの流れ者だったのだ。島に漂着していた所を民が見付け、儂の下へと連れてきた」

 当時、ハガネールの前に連れてこられたヤミラミ達は、自分達は命からがら追っ手から逃げ延びてきたのだと語ったという。
歩みもおぼつかず、息も絶え絶えと、いかにも弱りきった様子のヤミラミ達の語り口にまんまと丸め込まれ、
不憫に思って保護をしてしまったのが間違いだった。
ヤミラミ達は初めのうちははおとなしくしていたものの、月日が経つにつれて徐々に増長していき、ハガネールの保護を盾に陰で必要以上に鉱石を貪ったり、島に住む他のポケモンを恐喝したりと、傍若無人な振る舞いを行うようになっていった。

「呆れて言葉も見つからないわ。何で好き放題やらせていたわけ?」
 最低限の美学もないヤミラミの子悪党ぶりに、ミミロップは顔をしかめて言う。
ハガネールは口惜しげな表情を浮かべた。
「当然、きつく釘は刺しておった。だが、顛末はこのざまだ。いつか更生すると信じていた儂が愚かだったよ。もう十分だ。こやつらは島外へ永久追放とする」


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