第37章


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「ドンカラスの腐れチンピラと、マニューラのあばずれ辺りがちと厄介かもしれないが……。
なあに、ゆっくり時間をかけて信頼を得てから、内部からじわじわ侵略するまでさ」
「そんなこと絶対にさせない!」
 ――自分の大切なもの達を、こんな奴に汚させてたまるか!
 ミミロップの胸の奥底で押さえ込まれていた何かが沸き立ち、外に出ようと暴れだす。
「ぬ……今更どうやって止めるっていうんだ? 抗う手段も無く、
体力も尽きかけてるっていうのに。もういい、さっさと終わらせるぞ! 兄弟!」
「う、うん!」
 少し焦るようにしてヤミラミ達は飛び掛かる。
ミミロップに秘められ、今まさに解放されようとしている何かを本能が感じ取り、恐れていた。
だが、爪がミミロップに届くより数段早く、ヤミラミ達の体は赤く燃えたぎる拳に次々と叩き落とされる。
「い!? あぢゃぢゃぢゃーっ!」
 ヤミラミ達は地を転がって、必死に体に燃え移った火を消す。

「炎が戻ってきたぁーッ! これよ、この感覚! やっぱりさぁー、無理に自分を押さえ込むなんて健全じゃないわ。
いくらそれでうまくいっても、大事なもの見失ってたら意味ないもんね。
こんなゲス野郎を前にして、冷静沈着に心を静めてるなんて、単純な私には無理ってもんよ!」
 それは怒りよりも熱い感情。ありきたりながら非常に強力な、仲間への想いや、熱情だった。

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