第37章


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 しかし、ルカリオは落胆したように鼻でため息をついた。
「ちゃんと砕いてみせましたけれど、何かお気に召しませんか?」
 当然、褒められるものだと思っていたミミロップはムッとして言う。
「“同じように”砕いてみせろ、と言ったはずだ」
 そう言うとルカリオは自分の砕いた岩を見せる。拳の当たった部分から大きく雑に砕けたミミロップの岩とは違い、
ルカリオの岩はまるで内部で爆発でも起きたかのように中心辺りまでより細かく砕かれていた。
「お前の拳の威力は認めよう。しかし、ただ岩を砕くだけならばサイホーンにもできる。
それも更に巨大な岩石であろうと容易くな。だが奴の単調で鈍重な突進は実戦ではそうそう当たるまい。
お前が今みせた拳もそうだ。誰がお前が集中している間の隙を見逃し、
それも大振りで見切りやすい拳をむざむざ食らってくれようか」
 ルカリオの言い分に返す言葉もなく、ミミロップは黙り込む。
「無駄に込めた力は気の流れを殺す。最小の動き、且つ素早く、体の中で練った勁力を衝撃として相手に打ち込む。
これが出来ねば波導の奥義の習得など不可能だ。お前のやってきた拳に炎を纏わせる拳などは初歩の初歩と知れ」
「うう……」




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