第34章


[05] 



「さぁ皆さん、入り口はこちらですよ・・・ヒヒヒ」
 サマヨールの横には人間の大人がスッポリと落ちてしまいそうな穴が口をあけている。
近づくと吸い込まれてしまいそうだ・・・中は真っ暗で何も見えない。
「これが特別なルートというやつか?」
「えぇ、ここを通ればギラティナ様のもとまでは目と鼻の先です。」

「流石におれっちにその穴はは小さすぎらぁ。」
 プテラは翼をたたみ、体を細めてみるがどう見ても入れそうに無い。
「では、ペルシアンに俺たちのことを伝えてくれないか?場所はポッポに聞けばわかるはずだ。」
「・・・よござんしょ。しかしこんなもの、おれっちの時代には無かったなぁ。」
 よっぽど中が気になるのか、もう一度だけその穴を覗き、さびしげに飛び立っていった。

「私はここに残ります。まだ見落としていることがあるかもしれないので。」
「そうか・・・頼んだ。」
 ラプラスの目を見ていると罪悪感を感じずにはいられず、それしか言えなかった。

「さぁて、出発する前にいくつか注意事項を聞いてもらうぜ。」
 こっちの気持ちを知ってか知らずか、相変わらずの調子でゲンガーが話し始める。
「さっさと話せ。時間が無いのはお前もわかっているはずだ。」
「そう急かすなって、あっちで面倒起こされちゃたまんねぇからな。」
 ゲンガーが口の中から古く黄ばんだ紙を取り出した。
そしてそこに書かれた無数の黒い点の中のひとつを指差す。
「そこの穴はここに繋がってる。で、目的地はこれだ。いくらお前たちでも迷うことはねぇだろ。」
 ―――確かにゲンガーの指差す二つの点はくっつきそうなほど近い。
周りに他の紛らわしい点も無く出口を間違えることは無いだろう。



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