第33章


[03] 



ハナダの洞窟―――


 額に滲んでいた汗が玉になって伝い落ち、地で小さな音を立てて弾けた。
「それでいい」
 だが、ミュウツーは激昂することもなく、ただ静かに呟いた。穏やかな、満足した笑みを浮かべたようにさえ見えた。
「ならば止めてみるがいい」
 目を深く閉じてミュウツーは集中すると、抑えていたのであろう力を一気に放出させた。
爆風のごとき力の波がそれを中心に広がる。俺は地を掴んで吹き飛ばされてしまわないように堪えた。

「さあ、早く私を完膚なきまでに打ち倒し、お前達が正しいと証明してみせろ」
 両手から紫の煙のようなオーラを立ち上らせ、ミュウツーは俺達を見下ろす。
 やるしかない。
 俺は電気を束状に集中させ、ミュウツーに向けて放った。だが、ミュウツーは避ける素振りさえ見せず、片手で電流を逸らす。
続いて飛来する鋭い針をその身に届く前に見えない力でへし折り、渦巻く黒い球体を紫のオーラをぶつけて相殺し、
拳に炎を纏わせ飛び掛かるミミロップを尾で軽々と弾き飛ばした。
「この程度だというのか? やはり、今のお前達では私を倒すことなどできはしないのか?」
 落胆した様子でミュウツーは言う。



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