第32章


[03] 



 ――これはさすがにまずいか。
 しかし、俺が割って入ろうとする前に、ペルシアンの右前足はアブソルの頬にぺたりと力なくつき、ごしごしとさすった。
「うざったいからいつまでもめそめそしてるんじゃないニャ。別に恨んじゃいないニャー。
あんたらを恨むなんておカド違いってことくらいボクにもわかってるニャー。憎むべき相手は別ニャ」
 前足を離すとペルシアンは深くため息を吐いた。
「また空っぽの墓を作らなきゃいけないのニャ。よりにもよってあいつの、あの大バカのもニャー……」
 そう言って俯いたペルシアンにムウマージが寄っていき、くいくいと尻尾を引っ張る。
「何ニャー?」
「これあげる」
 ムウマージが取り出して見せたのは一枚の茶色い羽。たしかムウマージが双子島で……。
「これは、この羽は……!」
「ピジョンのだよー」
 羽を受け取ったペルシアンは一瞬だけ瞳を潤ませた後、我に返ったように大げさに鼻を啜り、目から雫を拭いさった。
「……ありがとニャ。少しは気分的にマシになったニャ。
――こんなことになった原因はそのミュウツーというポケモン、奴に大きくあるニャ。オトシマエは絶対につけさせてやるニャ。
死んだ二羽はいいヤツらだったニャ。ピジョンは昔からのクサレ縁だったニャ。
今から我がペルシアンの目達は全力でミュウツーの捜索に当たるニャ。そして情報はあんたらにもタダで教える、それでいいかニャ?」
「ああ、頼む」



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