第32章


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「あ、そっか。思い出した」
 ミミロップがぽつりと呟く。
「なんだ?」
「え? いや、あのカメックス、前にもどこかで見たことあるなぁって思ってたんだけど、ツンツン逆立った髪型した
グリーンって名前のヤな人間が連れてた奴と同じ奴よね。ほら、シルフビルで戦った。あ、ピカチュウは見てないか」
 名前までは知らないが、ツンツン頭の人間の事は覚えている。
確かカメールを連れていたような覚えがあるが、あの時点で既にカメックスに進化していたのか。
「そうさ、ハニー。あの鈍亀はそのグリーンが連れてた奴だよ。
君の美しさはあの時から変わらないね。まさにダイヤモンド、いや、パール――宝石のような永遠の輝きさ」
 首を少しこちらに向け、リザードンが答える。余計な口説き文句を付け足して。
 欝陶しさここに極まれり。ここが地上であれば即座に電撃の餌食にしてやるものを。
「はいはい……。そういえばあんたも居たわね、リザードン。
でも、何であのレッドって人が今はあのカメックスを連れてるの? ポケモン交換し合うような仲良しにはとても見えなかったけど」
 確かにそうだ。あの時、グリーンはレッドの前に立ちふさがり、敵対しているようだった。
ダークライの影響下にあったとはいえ、屍のような目をしていたロケット団員達に比べ、自己を保っていたように思える。
 リザードンはぽりぽりと首筋を掻いた。
「まあ、あの二人には色々とすれ違いがあってね。あの後も何度か衝突していたけど、最終的には和解したのさ。
リーグでレッドがグリーンに勝ってチャンピオンになった時、オーキドのジイさんに諭されたのが一番効いたんだろうな。
あの鈍亀は和解の証にグリーンの奴から贈られたそうだ。俺にとっては迷惑な話だよ」



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