第29章


[04] 




「何考えてんだニャー? 鳥頭どころかノーミソ空っぽなのかニャ? お前、吹雪のことだけで、そんな鳥を見た事なんてボクには一言も言わなかったニャー!」
「俺は一羽……逃がされ……ずっと後悔……巻き込みたくなか……」
「お前一羽で何ができるってのニャ! 結局メーワクかけてるんじゃないかニャー!
 ボクだって鳥達をやられて黙っているつもりは無い、犯人がいるならいつかオトシマエつけてやるつもりで吹雪の事をずっと調べてたんだニャ。
 この辺りのどこかを根城にしている氷の怪鳥がいることまで突き止めていたけど、アホが一羽で暴走しないよう黙っていたのに全部無意味だったってことかニャー!」
 ペルシアンが再びピジョンを強く振ると、その翼からひらひらと透明の羽が落ちる。
「俺は……仇……過去……勝った……」
 それを見て、ペルシアンは無言でピジョンを乱暴に地に落とした。
 そして深いため息を吐いた後、くるりと背を向け、オニドリル達に合図を出す。
 少し戸惑いながらもオニドリル達は配置につき、吊り籠の用意をした。
「ボクはそろそろ帰ってお昼寝の時間ニャ。もうアホには構ってられないのニャ」
 ひょいと籠に飛び乗ると、出発の合図らしい口笛を鳴らす。オニドリル達は一斉に羽ばたき、籠はふわりと持ち上がった。
「……だからグレン島の情報、しっかりとその小さい鳥頭に詰め込んでてくるニャ! 忘れたらタダじゃおかないニャー」
 ピジョンは倒れたままふらふらと片翼を持ち上げ、“了解”のサインを作ってみせた。
 オニドリル達は一気に高度を上げ、ペルシアンを乗せた籠を吊し飛びさっていった。

 ――呆然と見ているしか無かった。
 とりあえず、早速貰った薬達を活用させられることになりそうだ。




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