第29章


[26] 



海岸洞窟への帰路、俺は昨日出会ったあの者――確か名前はミュウツーと言ったか――の事を何気なく思い出す。
 無事に屋敷にたどり着けただろうか。
そして、失った記憶への手掛かりを見つけることはできたのだろうか。
 あの者に出会った時、どうにも放っておくことはできなかった。程度は違えど、その苦しさを俺は知っている。
 様子を見に行ってみるか。
 そう思い立ち、俺はピジョンに屋敷まで案内するよう話す。

 もしも何も手掛かりを見つけることが出来ず、途方に暮れているようなら――共に歩む道を与えてみよう。
 もう一匹くらい厄介な旅の同行者が増えてもいいだろう。


 ――もっと早く行っていれば、少しは違う結果へと導けたのかもしれない。
 だが、遅かった。


[前n]
[*]ボタンで前n
[#]ボタンで次n
[←戻る]




Copyright(C)2007- PROJECT ZERO co.,ltd. All Rights Reserved.