第28章


[01] 




「――起きてくれ、朝だ」
 外より目覚めを促す声が響く。
 頭の辺りを雑にさすりながら、ゆっくり上体を起こした。ぽっかりと開いた丸窓のような入り口から差し込む光は弱く、薄暗さを感じさせる。
「早めに出発したいんだ。準備を急いでくれ」
 羽音と共にピジョンは入り口から顔を覗かせる。眠い頭から何とかひねり出そうとした俺の返事を聞かぬまま、ピジョンは顔を引っ込めて早すぎるモーニングコールの次の犠牲者がいると思われる場所へと向かっていった。
 朝に出発するとは言っていたが、まさかまだ日も思うように昇らぬ内に起こされるとは。鳥の朝は早いということだろうか。
 余所から響いてくる短い觜から飛ぶよく通る声を聞きながら、敷き布団にしていたマントを気だるく拾い上げた。
 汚れを払い落としてからそれを着込んだ後、入り口から顔を出して外の様子を窺うと、それぞれの“うろ”から眠そうにぞろぞろと這い出して木のもとへと下りていく影が見える。俺も追うようにして木を下りた。
「これで全員集まったな」
 木の下で待っていたピジョンは俺と目を擦りながらぶつくさ文句をもらすミミロップ達を見回す。後ろには数羽のポッポを引き連れていた。
「ああ。……集まった鳥はそれだけなのか?」
 俺がそう言うと、ピジョンは申し訳なさそうに赤い羽毛の生えた頭をさっと撫でる。
「ああ、すまない。ペルシアンの言っていたとおり、多くは集めることはできなかった。それでも何とか八羽が協力してくれた。ぎりぎりだが、何とかしてみせる」


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