第27章


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「あーもう、勝手にするニャー。また謎の吹雪に襲われてもボクは知らないのニャー」
 ペルシアンはそう言い捨てて俺達に背を向け、ぶつくさ呟きながらどこぞへと去っていった。
「……いいのか?」
「ああ。……ところでピカチュウ。俺の翼を貸す代わりに一つ頼みがある」
「頼み?」
 そう聞き返すとピジョンはこくりと頷く。そして声を潜めながら切り出した。
「グレン島に行く前に双子島に寄らせてほしい」
 双子島に何を、と言い切る前に、しっとピジョンが羽先でジェスチャーする。
「もうちょっと声を落としてくれ。ペルシアンには聞かれたくないんだ。あいつはああ見えて意外と仲間思いだ。もし知られたら、俺を縛り付けてでも止めようとする」
「……それで、理由は」
「ああ、例の吹雪の話は聞いたな? もう一年以上前になるか。あの時、俺は見たんだ。吹雪の中、大きな鳥の影のようなものが双子島へと降りていくのを」
 ピジョンは顔を歪め、觜を強く噛み合わせた。
「吹雪の隙間に、ちらりと奴の姿を見た。青白く輝く羽、その姿は綺麗だった。おぞましい程に。直感したよ。この吹雪は奴が起こしているものだとな。
 その直後に奴の足爪に掴まれた氷塊と化した仲間に気付き、それは確信に変わった。
 俺は奴に復讐をしたい。俺を逃がしてくれたピジョットさんと仲間達のためにも。そして――……いや、それが理由だ」
 やはり無賃乗降とはいかぬようだ。
「いいだろう」
「感謝する。今はもう飛ぶには暗い。俺も仲間を説得しなきゃならん。俺の巣がある木に寝床に丁度良い“うろ”がある。今日はそこに泊まるといい。明日の朝、出発しよう」



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