第26章


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 朝の道路をそよ風とともに進んでいく。
 三番道路もおつきみ山のすそ野を這う山道ではあるが、九番道路とは違い身を隠せるくらいの木々は有り、ごつごつした起伏もあまりなく道はなだらかだ。
 人間も早朝ジョギングが日課なのであろう者が一人通っただけ。身を隠すのはわけない。この辺りはパラセクトの支配下でもあり、野性のポケモン達に不意に襲われることもないだろう。これ以上ない程の平穏無事な旅路が約束されていた。
 いつもこうならばいいのだがな。そんな風に思いながら、どこかゆったりとした気分で歩いていたそんな時――。
 突如、耳から耳へと衝撃が突き抜ける。朝の静寂をつんざく爆音。たまらず耳を押さえ込み、俺達はしゃがみ込む。
 数秒鳴り響いた後その音は収まり、恐る恐る耳から手を離し立ち上がった。
「まだ耳が痛い……何だったの?」
 耳の付け根辺りを擦りながらミミロップも起きる。
「わからん……。あちらの木々の奥から発せられていた気がするが」
 騒音の元凶を確かめるため、発生源と思われる木立の奥へと向かう。
 平穏と思われた旅はまたいとも簡単に崩されてしまった。なぜ我が道はこうも受難続きなのだろうか。面倒事が行列を作り今か今かと待ち構えているかのようだ。



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