第25章


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 ―――覚悟を決めるしかない様だ

 姿勢を低く構え、いつでも飛び出せるように身構え―――
 ―――ん?
 不意にマントから小さな緑色の実―――ラムの実がこぼれ落ちた
 こんなもの拾った覚えはないのだが…まあいい
 こうなれば一か八かだ

「な〜にゴソゴソやってるのよぉ〜」
 すでに奴の間合いまであと3歩…2歩…来るッ!
「いくわよぉ〜」
 ロゼリアを持った腕を除く、3本の筋肉の塊が襲い掛かる
「―――チィッ」
 まったく、この攻撃のどこが乙女だと言うのだ
 これだけ間髪入れずに攻撃されては反撃どころではない
 やはり無理があったか―――

 反撃の隙も得られないまま、徐々に後退を余儀なくされ―――

 ドンッ

 遂に壁際まで追い詰められた

「さぁ、そろそろ終わりにしましょぉ」
 パンチの応酬で軽く汗ばんだ顔を光らせ、奴が覆いかぶさるように迫ってくる
「―――ッツ!」
 一瞬の隙を突き、顔面に尻尾を振り下ろす
直撃―――だが、ビクともしない
「あらぁん、ひょっとして今ので全力?」
 まるで何事も無かったかのように、がっしり俺の尻尾を掴んだ
 チッ、顔まで筋肉でコーティングされているのか…化け物め



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