第24章


[04] 



「何故だ?」
「倒れていたとき、ボクの頭に声が響いたんだ。全てを聞いたよ。腕輪に入っている力を返してもらった時、隙間は埋まり、全ては助かるって」
 アブソルは顔を伏せる。
「そして、たぶんボクは――」
 腕輪を渡せば全ては解決するだろう。だが、それは――。
「さあ、早く――えッ!?」
 こちらに振り向き、差し出してきたアブソルの手を無理矢理引き、俺は駆け出す。
 ――ギイィィィァァアッ!
 怪物が咆哮を上げ、水っぽい足音を立てながら追ってくる。
「な、何をするの!? 早く腕輪を――」
「うるさい、黙っていろ!」
 何か――それ以外に何か他に道は無いのか?

 ――無常にも駆け抜けた先には道はなく、行き止まりには瓦礫がうずたかく積まれていた。
「くそッ!」
 瓦礫に電撃を放つが虚しく焦げ跡がついただけだ。
 びちゃりと足音がすぐ後ろから聞こえてくる。がちがちと歓喜の声を上げるように歯を打ち鳴らす音が聞こえた。
「ごめん」
 アブソルが俺の腕から腕輪をくわえて奪い取る。
「止め――ッ!」

「さよなら」



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