第22章


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 ゴアァ――。
 リザードンの尾の一撃を受け、カメックスは叫び声を上げ倒れる。幾度も攻撃を受けとめた要塞のような甲羅も、レッド達の連携のとれた連続攻撃の前に遂に敗れた。

「くそ……! ちくしょう!」
 もうグリーンには手持ちのポケモンがいない。グリーンは顔を伏せ、悔しさに体を震わせながら、拳を強く握り締めている。
「グリーン……――」
 グリーンに歩み寄ろうとするレッド。しかし、突き飛ばすようにグリーンに押し退けられ、グリーンはそのまま下の階に向かうワープパネルへ走り去ってしまった。
 引き止めようとした手をレッドは力なく降ろす。そして、帽子の鍔を片手で掴み、帽子を深く被って俯いた。

「何だか後味が悪い感じですね」
「……うん」
 かける言葉もなく、ポケモン達はただそれを見ているしかなかった。

 数秒の沈黙の後、ふっ、と小さく息を吐き、レッドがミミロップ達の方へ振り向く。
「君達、手伝ってくれてありがとう」
 感謝し、笑みを浮かべてはいるが、その表情はどこか暗い。
「さて、まずはリザードン達の治療をしなきゃ。確かすぐ下に休憩室があったな。君達がこれからどうするつもりかわからないけど、気を付けて。それじゃあ、ね」
 リザードンをボールに戻し、レッドは去っていった。



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