第20章


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 ――洋館にて。
 ビッパから無理矢理ビデオデッキを奪い取ったドンカラスは、極道ものの映画を見ていた。
「カァ〜、やっぱり『極道の♀達』に出てくるマニューラの姐御は妖艶な美しさでたまんねえなあ」
 画面には主役が連れた、色違いの桃色のマニューラが映っている。
 それを憧れの眼差しで見つめ、独り言を言いながら惚けているドンカラスだが――
「……はっ!」
 不意に何か嫌なものをを思い出してしまったのか、ドンカラスはそれを振り払うように、ブルブルと首を振った。
「カー、嫌だ嫌だ。同じマニューラでも、キッサキのアホとは大違いだってんだ、クァハハ」

 ――ニューラのアジト。
「クシュッ!」
「どーかした、マニューラ? 何とかは風邪引かないはずよね?」
「ヒャ〜ン、ズズッ……何か今、糞カラスにすげームカつく事言われた気がするぜ。ちょっと糞カラスんとこ行ってくる」
「変な電波でも受信したのか? ギャハハ」

 ――洋館。
 まだドンカラスは映画の続きを見ていた。まるで映画の中に入り込んでいるかのように熱中している。
 コンコン、とドアをノックした後、エンペルトがドンカラスがいる部屋のドアを開けた。
「ドン、マニューラが来たぞ。下のエントランスで待っている」
「……何色だ?」
 ドンカラスは振り向かずにそう聞いた。そのおかしな問いに、少し戸惑いながらもエンペルトは答える。
「いつも通り黒だけど」
 ドンカラスは大きなため息をつき、やれやれと重い腰をあげる。
 そして「だろうな、来るわけねえよな」等とぶつぶつ呟きながら、エントランスに向かっていった。
「……? 何なんだポチャ?」

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