第20章


[12] 



バンギラスは狂喜の声を上げる。
「血沸き、心踊る……我が心が疼く、疼きおるわ! 同じ種族! 同じ身のこなし! その小さき体でよくぞそこまで! またこの様な者と合間みえるとは! 愉快だ――」
 バンギラスの感情の高ぶりに呼応するかのように、また砂嵐が暴れ狂い始めた。
 そしてバンギラスが放つ目視できる程の闘気が龍の形を成し、奴の周りを砂と共に舞い踊る。
「楽しいぞ! これだから闘いは止められぬッ!」
 地を数回蹴り、バンギラスは一気に、こちらとの間合いを詰めてくる。――速い。
「ちっ!」
「逃がさぬッ!」
 咄嗟に距離を離そうとするが、奴の剛拳が素早く俺の動きを捕らえ、壁に叩きつけられてしまった。
「ッ!」

 よろめきながら何とか立ち上がるが、足がふらつく。俺は地に膝をついてしまう。
 何という力、速度。化け物か。
「さあ、早く立ち上がれ、構えろ、雷撃を放て、闘え! 我を楽しませろ! 早く! 早く! 早く! 早く! 早くッ!」

《参ったな。こうなったら手がつけられない》
 頭に声が響く。――誰だ?




[前n] [次n]
[*]ボタンで前n
[#]ボタンで次n
[←戻る]




Copyright(C)2007- PROJECT ZERO co.,ltd. All Rights Reserved.