第18章


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ゴゴゴゴゴ、と突然地響きが起こる。
「わわわ! 何だー!?」
「おっと…ふう、収まったか。急ぐぞ」
「もうやめましょうよ〜先輩!」
 半ベソで痩せた団員が叫ぶが、それを無視し体格のいい団員はカードキーを通し扉を開ける。
 ズズズと大きな音をたて鉄の扉がゆっくりと開く。
「ひ、ひいぃ、こいつが…」
 中には鉄の檻、鎖、鉄球、何重もの拘束具で繋がれた大きなポケモンがいた。
 銅色の鎧のような甲殻に包まれた巨大な体、睨まれただけで臆病な者は泡を吹いて倒れそうな凶悪な眼、傷を刻まれ潰れている右眼は歴戦の証だろうか。
 バンギラス――そのポケモンは人間達にそう呼ばれている。
「よ、予想以上にでかいな…」
 実際にバンギラスを目の辺りにして体格のいい団員も少し怯む。
「さっさと運んで…」体格のいい団員がそう言い掛けた時、バンギラスがぶちりと鎖を引きちぎる。
「な!?」
「グギャオオオォォン!」
 バンギラスが咆哮をあげると室内にもかかわらず砂嵐が巻き起こる。
 バンギラスは鉄でできた檻の太い柵を、針金のようにグニャリと曲げ外に飛び出す。
「くそっ!」
 麻酔銃を構えようとした団員を右足に繋がれた鉄球で吹き飛ばし、そのまま鉄球を壁に叩きつけて壊した。
 痩せた団員は腰を抜かし口をパクパクさせている。
 バンギラスはそれを横目でギロリと見た後、興味が無さそうに痩せた団員の横を素通りし倉庫の外に出た。
ゴゴゴゴゴ、もう一度先程のような地響きが起こる。
 バンギラスは嬉しそうにその凶悪な眼を輝かせると、その地響きの方に振り向き走りだした。
「闘いの匂いだ! 強者はこの先か!」



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