第18章


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「ピカチュウ、そっちの黒いのに電光石火だ!」
 ダークライが悪の波動を放とうとした瞬間、赤服の人間のピカチュウが電光石火の一撃を決めそれを阻止する。
「ぐっ、このガキっ!」
 ダークライは赤服の人間を睨む。
 赤服の人間は得意げに言った。
「ふふん、僕が一匹だけに集中してると思った?」
「ちっ…」
 ダークライは何をしていると言いたげに、サイホーンの方を見る。
「ぐ〜が、ぐ〜がが〜!」
 サイホーンは赤服のピカチュウのアンコールを受けたのであろうか、無意味に尻尾を振らされていた。
「…えぇいっ! アホがっ!」
 ダークライは苛立ち叫ぶ。

 このチャンスを逃す訳にはいかない。俺は一気にダークライとの距離を詰め、尾を振りかぶる。
「ピカチュウ、アイアンテール!」
同じように赤服のピカチュウもサイホーンに仕掛けようとしていた。
「ピカッ!(食らえッ!)」
「ピカー!(食らえー!)」
 俺と赤服のピカチュウの叫びが重なる。そして同時に鋼鉄と化した尾を互いの敵に叩きつけた。
「ぐうっ」
 手応えありだ。
「ぐがああぁ…」
 サイホーンが赤服のピカチュウの一撃で倒れこむ。
「ちっ、使えん道具だ」
 ダークライがサイホーンが倒れたのを見て言い放つ。
「よそ見をする暇はあるのか!?」
 俺は追撃の電撃を放つがダークライはそれをかわし、倒れたサイホーンの真上にふわりと浮かび上がった。
「使えん道具は…」ダークライは両手を掲げる。するとサイホーンの体が黒い球体に包まれた。
 何をする気だ!?
「使えるようにするしかあるまい」



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