No.2


[05]春の訪れ




担任の挨拶が始まり、みんなは緊張のせいか静かに背筋を伸ばしている。


窓の外には満開の桜。


ふと窓の外に目をやるとさっきの隣の男の子と目があってしまった。



その子の目は薄茶色で吸い込まれそう。


思わず見つめてしまった。


「…なに?」


「え、あっ!えっと…え…」


いきなり話しかけられしどろもどろ。


「あ、わ、私、笹垣夢叶!よよよろしく!」

慌てすぎて自己紹介をしてしまった。


「…き」


「え?」


「…田宮さつき」


やっと聞き取れるくらいの小さい声で名前だけをいい、ぷいっと外を向いてしまった。


でもよく見てみると耳が少し赤い。


"もしかして照れてる?"


なんだか可愛いと思ってしまった。


田宮さつき。


私がこの人の虜になってしまうのは言うまでもない―――


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