〜過去〜ツバキ〜


[09]家族


「ただいまぁ…。」

「ねぇちゃ!おかえい」
声を聞きハルカが一番にとんできた。

「ハルただいまぁ。」
ハルカのキラキラした笑顔に思わず椿の顔が綻ぶ。


「椿おかえり。
ご飯食べるでしょ。皆待ってたのよ?」
母が顔を出す。

「ありがとぅ。」

質素な食事だったが家族で食べる食事は、最高のおかずだった。

「椿…どう仕事?」
母が聞きにくそうに聞く。


「えっ?うん普通だよ。」
家族を不安にさせちゃいけないと思い精一杯の笑顔で応える。


「なんか悩みか?」
無口な父が口を開く。
「えっ…。」
父親は、勘が鋭いトコロがあった。

今日の事を話すか話さないか迷ったが…椿には、荷が重かった…。



「えぇ!アンタ1人で奥様の世話を?」
母は、驚いたようでおもわず大きな声をだした。

「ぅん…明日からすることになった。」

「すぅことなったん?」

ハルカが心配そうに言う。

「スマナイな…お前にこんな思いさせて…」


「私は…大丈夫だよ。皆いい人だし!ちょっと大仕事かなぁって不安になっちゃっただけ。」
椿は、笑顔をつくる。
「ねぇちゃ!」
ハルカが服の裾をグイグイ引っ張る
「どぅしたの?ハル?」

「こぇ食べう?」
ハルカは、手に飴玉を握り締めていた。

「これは、ハルの好きな飴玉でしょ?お姉ちゃんは、いいわよ。」いつもハルカは、飴玉をなめていた。唯一のおやつだった。


「ハルカなりに椿の事心配してるのかもしれないわね。」
母が微笑む。


「ハル……。ありがとう。」


「ねぇちゃあいあと?」

「ふふ…そうね!がんばらなきゃね。」
椿は、家族の励ましに応えようと。
この大仕事をやってみようと思った。




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