〜第3章〜


[03]芥さん


カランカラン…


ドアについているベルが音を立てる。

「おぉ…ふるくせぇ。」

ハルカが珍しそうにお店を見渡す。

「ハルカさん…失礼です。」


お店には、たくさんの絵の具や筆、鉛筆など絵を書く為の道具が所狭しと並んで居た。

「うわぁ!レイはいつもこんなトコで買物してるのかぁ。」

「こんなトコロで悪かったのぅ。」

「うわぁぁぁ!びっくりしたぁぁ!」
画集がたくさん積まれたトコロから1人の老人が顔を出した。


「こんにちは。芥(カイ)さん。」
レイが丁寧に挨拶する。
「ゼロ…なんじゃ…このうるさいのは。」

「うるさくねぇよ!」

「…私と一緒に住んでいるハルカさんです。」

「こんなうるさい猿と住んどるお前は、大変じゃのぅ。」
鼻をほじりながら芥が言う。

「じじぃ。コロス…。」


「ハルカさん…落ち着いて…。」


「今日は、何の用じゃ絵具がなくなったか?なんじゃ?」

「今日は、ハルカさんが絵を書きたいと言うんで画材を探しに来たんですょ。」
レイが言いにくそうに言う。

「ひゃぁひゃひゃ!小僧が絵を書くのかぁ!」

「悪りぃのかぁ?じじぃ。」

「絵を書くのは自由じゃから何も言わんょ。」

「やけに素直じゃねぇかじじぃ。」


「ハルカさん…芥さんに失礼です…。」


「これにしろ。」
芥が差出したのは、スケッチブックとクレヨンだった。
「何だ?色んな色があってキレイじゃねぇか。」

ハルカも気に入った様子だ。

「そうですね…クレヨン少し力加減とかが難しいですけど…自由な感じがハルカさんにあってるかもしれませんね。」

「まぁ…それでいぃよ。レイのと同じのがよかったけど。」

「それは、やめとけ…。」
芥がぼそりと言う。


「やっぱムカつく!」

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