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《完結》負けない!!負け犬【１】～２０代後半・真選組女子隊長の日記～

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[18]１月３日

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気が付いたら朝になっていた。

昨晩から無心で【百華】を振り続けていたら、眠るのを忘れていた。

真冬だというのに汗だくだ。

しかし修練に耐えて相棒と迎えた朝は寒いながらも心地好い。

窓からの朝日を浴びながら、相棒とこの道を極めんとする事を誓う。

｢……！！

華蓮、お前まさか昨夜からずっとここで稽古してたのか！？｣

声のした方を振り向くと、土方さんが驚いた表情でこちらに向かって来る。

｢はい、ずっとここで【百華】と修練していました。｣

｢…淋しい女だな。

一晩を共にするんなら、刀じゃなくて野郎にしやがれ。｣

出来ればぶっちゃけそうしたいです。
マジで。

｢手ぇ見せてみろ。｣

突然私の手を取り、掌でグチャグチャに潰れた血マメを数え出す。

治療以外で男性に触れるなんて久々だなぁ。

｢な…お前バカか！何だ、この手は！！

これじゃ仕事に支障来すだろぅが！！｣

はっ、そうだった。

土方さんの言う通りだ。

一時の感情だけで突っ走っちゃいけなかった。

何でも限度ってもんがある。

それを見過ごすと後で周りに迷惑かける。

何やってんだろなぁ、私…

灰皿の次は修練のし過ぎを叱られたよ。

｢…あっ…怒鳴って悪ぃ。

ところであの時助っ人に入った男って

…万事屋の坂田だろ。

昨夜取調室で薬中の男に色々特徴を吐かせて、奴にたどり着いた。

お前と坂田、知り合いのように見えたらしいけど、何かしら関係が…｣

｢ありません！！
今はもう何もありませんから！！｣

…あ、[今は]とか言っちゃった…。

｢…なるほどね。

[今は]…か。｣

あーあーあー聞かなかった事にしてくんないかなぁ、土方さんんんー！！

｢それでこのところお前の様子が変だったんだな。

真選組で心機一転、一旗揚げようと勇んでいたところへ元彼出現、心乱された…ってか。｣

この人は勘が良すぎる。

｢お前は俺の失敗を知ってるだろう。

俺は仕事と女を天秤にかけて、女を捨てた。

相手の幸せを想っての事だったはずなのに、結局は不幸なまま死なせちまった。

ありゃ完全な失敗例だ。

だからこれを悪い見本に、お前はあいつと良い関係を築けばいいんじゃねぇの。

どっちか選ばなくても、仕事と男、両方手に入れればいいんじゃね？｣

窓から日の光が差し込み、視界が明るくなった。

・―・―・―・―・―・

さっきの土方さんの言葉が胸にこだましている。

[仕事と男、両方手に入れればいいんじゃね？]

そうだ。
頑なにならなくとも、適度に両方を存在させればいいんだ。

しかし今の状況では、銀時は私を幸せに出来るとも思えない。

仮に結婚したとしよう。

私はそれなりの高給取り。

彼は万事屋の経営者。

とはいえ安定収入が無いのだから、半分プーみたいなもんだ。

そうなると、見方によってはヒモだ。

そんな将来性の無い男に未来を賭けられるほど私には時間は残されていない。

情熱だけで突っ走るなんてのは若い奴らのする事だ。

だからといってこの街で暮らす以上、銀時と顔を合わせない事などあり得ない。

だから適度な関係を保つ。

何もかも知り尽くした間柄
[親友]

になるのだ。

心だけ繋がっている、プラトニックな関係でいよう。

そうすればお互いに
居心地好くこの街で暮らせるはずだ…。

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