恋×2(完結)


[04]どうする…


「………ン…」
「大丈夫か?苦しくないか?」
腕の中の青木が、かすかに身じろいだ。顔を見ると、目がゆっくりと開いた。
なにも映していないような目は、どんよりとしている。
俺を見てはいても、俺とは認識できていないような感じだった。

「青木?」
呼びかけてみても、浅い苦しそうな呼吸が繰り返されるばかり。
開いていた目も、再び、ゆっくりとした動作で閉じられた。




昼下がりの部室棟。
休部という名の廃部になった、文芸部の部室のソファの上に、青木を寝かせる。
かけるものがないから、俺の上着を掛けてやる。


真っ白な顔と、苦しそうな呼吸に変化はない。
いつもの元気な姿とは、逆の姿に胸が痛んだ…

「青木…」
呟いて、柔らかな頬をそっと撫でる。
眉を寄せるだけで、ほかに反応はない。


「なにがあった?」
呟いてみても、返事はない。
返事の代わりに、苦しそうで、でも規則正しい寝息が聞こえる。


無理に起こすのも悪いし、このままここにおいて帰ってしまうことはできない…
何かあったら、絶対、後悔するし…

どうする、俺…



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