黒猫の君と白猫の僕(君と私番外編/完結)


[03]捨て猫2


周りを見回しても、お母さん猫は見当たらない。ただ、子猫の叫ぶような鳴き声が聞こえるだけ。
こんなに大きく泣き声が聞こえるのに、どうして姿が見えないんだろ?
不思議で仕方がなかった。
だって、泣き声は本当に大きく聞こえるんだ。

なんだろ、小さすぎて見落としたのかな?
服が汚れて怒られてもいいや。はいつくばって、見落としたかもしれない地面の方をじっくりと見る。

…でも、ゴミばっかりで子猫の姿は見えなかった。

「ミィィィィ」
ひときわ大きな鳴き声で、子猫が鳴いた。大きな?

近い!
近くにいるんだ。

泣き声の大きさからして、絶対に近くにいる。僕は確信した。
目を皿のようにして、もう一度、地面をじっと見る。

ガサガサ
落ちている、アイスの箱が動いた。
ゆらゆらと、アイスの箱にはありえない動きをしていた。

あれだ!


ドキドキしながら、ふたを開けると…

小さな白猫が一匹。
アイスでベタベタになりながら、それでも懸命に泣いていた。

「もう、大丈夫だよ」
「みゃーう」
僕の声に、白猫は返事をした。この子は頭がいい。根拠もなく、そう思った。


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