ジュリエットな君とロミオな私 (君と私@)(完結)


[02]第2幕


劇は始まり、滞ることなく進んでいく。

傍から見れば…


私にとっては波乱づくしだった。

第一幕。
恋に落ちる名シーン。
仮面をつけ敵対する家のパーティにもぐりこんだロミオは美しいジュリエットを見つける。
手をとり、軽口を叩きながらキスしたいと投げかけてみる。
当たり前だが、やんわりと断れる。

「聖者には唇が無いのでしょうか?巡礼には?」

「いいえ。お祈りをするのですから唇はございます」

「それならば、私の愛する聖者様。私の祈りを聞き届けてください。そうでなければ私は絶望してしまいます」

キスをほのめかし、愛の軽口を叩きあいながらお互い柔らかな微笑をたたえて談笑するのは、なんだか…こそばゆかった。

なんとなく、赤くなってると…

ジュリエットが母親に呼ばれた。

これで、このシーンは終わり…

だけど、彼女…いや、彼は名残惜しそうに振り向いて切ない表情で呟いた。

「僕には唇があるよ。聖女様」




どういう意味だ?


疑問を抱えたまま、劇は進んでいく。

有名なバルコニーのシーンで、ジュリエットは祈るように手を組んでロミオへの愛を囁く。
「ああ、ロミオ。ロミオ。どうしてあなたはロミオなの…」
顔をやや赤く染めて、切なく空に向かって独白する姿は…恋する乙女そのもの。

姫野君もがんばってる。
私もがんばらないと…



というわけで、バルコニーでの愛の囁き。
修道院、決闘のシーン、修道院での結婚のシーンとテンポよく進んでいく。

ラストはもうすぐそこだ。

暗い照明の中、姫野君に覆いかぶさりながら先のことを考えていた。
薄暗い照明の中、浮かび上がる二人の影…

結婚式を終えて初夜のシーンだ。

ここは高校生らしくあっさりシルエットで…


って?

ん?

細い腕が伸びてきて、首に絡まる…

逃げようとして、体を引いたら…

姫野君がのけぞるみたいにしてついてきた…



観客席は異様な盛り上がりを見せた…
意味がわからないよ。



「こっちの方がリアルだよね」
響いてきた声は、アルトじゃなくてテノール。
高いけど、男の子の声だった。


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