〜第2章〜 扉


[21]2000年3月9日 午後9時30分A


「最後に、時間の歪みが起こらないように、わたし達がつけた痕跡を消すんです。」

「へえ〜。」


「それじゃ、帰るわよ。」清奈はフェルミを首につけて、僕達に言った。








不可視空間…だったっけ。再び本だらけの部屋に入る。ガラスの階段が現れ、清奈とハレンが中へと入る。そして僕も同じく中へ入ろうとした

その時…


っ……!?

また、あの悪寒だ。
何やってるんだよ僕は。それは気のせいだ。清奈もハレンも無事だし、無事にネブラを倒したじゃないか。そうだ。気のせいだ。





「気のせいなんかじゃないよ?」

「な…………!?」

後ろから声をかけられた。

「誰だ!」

僕は振り返った。
いたのは――

まだ幼い女の子…。

「へ〜。タイムトラベラーか〜。ふ〜ん。」

その少女はそう言って、僕に笑いかけた。

予感から確信へ、そして確信から実感へと変わった。間違いなく、
僕のこの気配は彼女のものだったのだ。

もっとよく見ようと思ったが、扉が閉まっていく―。

その子は別に入ろうともしないで、ずっと立っている。

そのまま、僕はその子の顔が見えなくなった。

今のは……




誰だったのだろうか。

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