第39章


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光を潜り抜けてパルキアが降り立つと、足元がめきめきと乾燥した音を立てた。
何事かと手の内から見下ろすと、床には樹の幹らしきものが這い、そのまま地から天までぐるりと見渡してみれば、目の届く限り至る所が成長した古樹に覆われていた。
隙間から僅かに垣間見える、不可思議な模様の刻まれた石壁や石畳だっものらしき石片が、時の力の偉大さを讃え、または無情さを嘆いている。
 神さびた領域の中心で威風堂々と鎮座するは、黒に近いくすんだ濃紺色をした鋼の鱗に全身を守られた竜。パルキアにも劣らぬ巨大な身体と長い首を丸め、どこか無機質で規則的な寝息を立てている。
 その姿を見下ろして、パルキアはぐるると喉を鳴らし、大きく息を吐いた。
「この大事に、惰眠を貪っている場合ではない……目覚めよ」

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